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そのほかにも、空気抵抗もフリクションですし、ライダーのポジションもフリクションですし、そういう面でもできるだけシングルのメリットを生かして、幅の狭い空気抵抗の少ないバイクにしていって。マフラーの後端もアップにして後ろから出して、排気ガスを一番渦巻いてるところに出して渦を少なくするだとか、その辺がやっぱりシングルレーサーでは必要になってくるんです。

MOTUL: ラム圧をかけるような構造というのも、早く取り入れてますね。
佐藤: ええ。ヨーロッパは高速コースが主体なもんですから。シングルのエンジンというのはダラっと回って、なおかつ上を出そうとするともう回転数を回せないもんですからね。回転数が上がらない中で馬力を出そうとすると、やはりちょっとでも圧のかかった空気をエンジンに送り込みたいなと。そして40秒ぐらい直線を全開で走るときに、200〜240km/hを使う時間というのがすごく長いんですよね。その中で、せっかくだからラム圧を利用しない手はないんじゃないかなというので、積極的に取り入れることにしました。それで最高速を伸ばしたいなという感じで。

MOTUL:なるほど。そして2年目で楽に2度目の世界チャンピオンに。
佐藤: そうですね。ヨーロッパの人たちはあまり開発をやってなかったものですから。僕らの方が最初からポテンシャルはありましたね。

MOTUL:
去年は、シングルからマルチのエンジンにシフトされましたね。8耐ではクラス3位に入賞されたり、大活躍だったんですが、ヤマハR1に関してのエンジン、オイル等のお話をお聞きしたいんですが。
佐藤:R1とシングルは全然違うエンジンなんです。シングルの場合はフリクションが少ないオイルが欲しいのはもちろんですが、粘りも同時に必要なんです。トルクが大きいもんですら油膜切れが起きないように。そういう面からフリクションロスが少なく、しかもあ る程度粘りのある300Vコンペティションを選んだわけです。
しかし今度はR1になったらとにかくフリクションをまず減らして高回転でギュっと回るようなエンジンに仕向けるというのが、やはり4気筒のエンジンの持って行き方じゃないかなということで、とにかくフリクションロスが少ないオイルを追求したわけです。フリクションが少なくて回転が上がるということは今度は逆に油膜切れも起きるということにもなるんですから、慎重にオイルテストしましたよ。300Vパワーレーシングは、厳しい要求に応えてくれたオイルでしたよね。
R1に移行してきたのは、シングルの方は次にステップアップしようと思ったらあ とはもっと速いエンジンを作るしかやりようがないかなというのがあ って、どうしようか悩んでいたんです。エンジンのレイアウトとかメカニズム的に進んでいるのは日本の4気筒が一番進んでますから、その中でR1が去年出たばかりで、その辺でも興味があ ってシングルからR1に移行したんです。

MOTUL: 全日本選手権では「Xフォーミュラ」という新しいカテゴリーに参戦されたわけですが、いかがでしたか。
佐藤: 一般の市場から考えると、750ccの市場というのは日本では皆無に等しいと思います。やはり逆輸入車、1000ccクラスとかのマーケット自体が成長しているし、大型免許の改正という追い風を含めて、大型車両に一昨年ぐらいから移行してきてる環境は僕らのビジネスチャンスでもありますから参戦したんです。
マシンのチョイスも一番最新型の大型バイクというのがR1で、それが一番かなという簡単な理由で選びました。R1に乗られるお客さん自体がやはりスピードとか馬力とか、速さを求めてるもんですから、ネイキッドだとかアメリカンだとか、シングルのお客さんよりすごくレースに興味があ るみたいで、8耐なんかに参戦してるのも、うちとしてはそのまま反応が早いですね。

MOTUL:
うちにも「OVERさんが入れてるオイルは何ですか」っていうような問い合わせがあるぐらいですからね。ところで、今年はどういう活動がメインになるんですか。
佐藤:今年はR1とXJR1300でウエストエリア選手権 が5戦あるんですけど、鈴鹿3回、TIが2回ですかね、そのレースはチャンピオンシリーズ戦なものですから、それでチャンピオンが取れるように、バイクを使い分けていこうかなと思うんですね。鈴鹿の東コースだったらXJR1300でいけるようにしたいんですけど、TIとか鈴鹿のフルコースなんかになると、スピードが上がるところはR1の方でいきたいなと思ってるんですけどね。
やっぱりR1はもう車自体が完成されてるもんですから、そんなに大幅にやることはないんですね。細かいところの積み上げなもんですから。XJR1300はもともとがネイキッドでサーキットにはそんなに向いてないバイクですから。
でも、やっぱりああいうのも魅力的なところはあ るじゃないですか。サーキットに向いてないバイクを格好良くサーキット用にアレンジしていくような、そういうカスタムの面でいくと、やっぱりR1よりXJR1300の方がカスタムのし甲斐があ るといいますかね。それがまた町乗りのお客さんに結びつくパーツの開発がしやすいもんですら、そういう面で1300もやっていきたいなというところですね。


MOTUL:
97年ですよね、XJRでスーパーネイキッドのチャンピオンをお取りになっていらっしゃいますし、また狙えますね。
佐藤: そうですね。今度はスーパーネイキッドというよりか、スーパーネイキッドだと改造の範囲が限られてるもんですから、Xフォーミュラの方にも出れるというようなバイクに仕上げたいなと。ですから、XJRの町乗りのカスタムの手本になるような、そういうレギュレーションも何もない、好き勝手に何でもつけていいみたいなバイクにしていきスいと思ってるんですけどね。

MOTUL: 空冷のビッグバイクですから、またオイルの方もチョイスがあると思うんですけども。
佐藤:
そうですね。XJRはまた中間ですよね、シングルと4気筒のオイルの中間ぐらいのオイルが必要とされると思うんです。
油温も大分上がりますね。空冷の排気量がでかいやつですから、油温は1200のときからすごく上がってたんですよ。油温が上がっても油膜切れのしない、フリクションの少ないオイルが必要ですね。
そういう意味では、うちの場合、シングルあ り、水冷4気筒あり、空冷4気筒あ りという部分で、コンストラクターの中でもいろんなカテゴリーに挑戦してるわけで、それはオイルにとっても1つ1つの試練の場、いい実戦のテストの場になるわけです。
 
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