|
|
|
|
|
|
|
|
|
中野:
「どこで売ってるんですか?」
タクシー運転手:「その辺じゃ売ってないけど、ちゃんとしたカー用品屋行けば結構置いてあ
るよ」
中野:「スタンドじゃ置いてないですよね」
タクシー運転手:
「スタンドにはないよ、これはちゃんとしたオイルだから」
中野:
って終わったわけですよ。タクシーの運転手さんというのはとにかく距離を乗る。クルマのメンテナンスに関して自分で責任を負わなきゃいけない。毎日の「職場」なわけですから快適にしたい。
いやあ、ひょんなところで、良い話に出会ったなあ と思いましたねえ。
中野:うちのお客さんはほとんどモチュールなんだけど、たまに違うメーカーの半合成、もしくは今時少ないんだけど鉱物系を使ってきたお客さんがいるんで、そのエンジンを開けたときにケース内のスラッジの付着度合いがまず違っている。それと、対磨耗。同じ磨耗してても、金属の摺
動部の当たり面の輝き。これは肉眼でもわかりますよ。
MOTUL:かじりがないとか。
中野:そうですね。さらに、端的な結果が出たことがあ
ったんですよ。同じ条件で走った2台のバイク、ドゥカッティM900モンスターがあ
りましてね。1台は全くのサラでモチュールを入れてなくて、もう1台はモチュールを入れてたんですよ。ターンパイクをばんばん飛ばして約300キロの行程。厚木の2個目の料金所の手前の直線で、全開くれて…。本来はあ
る程度クールダウンさせながら、現地に到達する4キロくらい手前から低い回転で全体を冷やすっていう作業をするわけですが、それをやらずにガーっと走り込んで、お金払ってエンジンすぱっと切って、コーヒー1杯飲んで立ち食いそば食べてたばこを吸って、さあ
行こうと思ったら、モチュールじゃない1台が、ガイドとステムが焼きついてた。それでいきなりピストンもぶつかってヘッドがパーになった。おっ、やばいっていうんでもう1台のモチュール入ってるほうのエンジンかけたら、キチっと動いた。完璧にオイルの差が出ましたね。
MOTUL:
オイル以外には、原因は考えられないわけですね。
中野:
まったく考えられない。それが嘘か本当かっていうことで、その後またテストしたんです。そしたら、モチュールを入れてると、まったく問題が出ない。東名で、3速で目一杯引っ張ってね。何でそんなことやったかというと、どこがどう壊れるかはっきり見たかったわけですよ。
MOTUL:
中野さんは、実際に自分で走って、いろいろ試されてますよね。それ以外にもあ
りますか。
中野:僕は、お客さんに「空冷のエンジンは初期の馴らしさえ終われば、あ
とは暖気運転要らない」って勧めてます。なぜかというと、空冷に関して言えば、オイルの性能さえもってくれれば、エンジンかかってヘッドにオイルさえ回ってしまえばOKなんです。逆に、長くやりすぎると一部だけ熱を持って、余計なカーボンも付着するわけですよ。
僕の経験上、空冷に関してはヘッドのオイルが回ったら4000回転以下でまず4〜5キロ走って、全体暖まったらそこで全開やってもいいですよっていう方が、具合が良いのがわかったんですよ。水冷はだめですよ、あ
る程度水温が上がらないと。ウォータージャケットのところにオイルが回っちゃう。だけど空冷に関してはそれで絶対いけるから、間違いなく。これでどこか偏磨耗して壊れたら、いつでも受けますよって言ってます。今東京都内で、ドゥカッティを自宅の前で早朝に暖気運転をするって、こんな非常識な話ないわけですよ。これはあ
る程度音量のあるバイクのデメリットなわけですね。
どんな静かなバイクでも早朝音が響きますよね。だから出来れば、エンジンかかったらすぐ走りたい。もしくは大通りで暖める作業を心がけたいわけですね。
その部分でも、オイルの性能って重要で、いいオイルを入れてれば、ヘッドにオイルさえ回ってしまえばあ
とは走りながら暖気できるんですよ。そうやって走ったエンジンの中身をいっぱい見てますけど、偏磨耗してるのはひとつもない。逆に、暖気を長くする人たちよりもカーボンが少ないんですよ。これは是非お勧めのコース。近所の住民にも迷惑かけないし。エンジンのためにも良い。いいオイルさえ入れていれば、空冷に関しては暖気せずにいけますっていうことを、声を大にして言いたいですね。これは、何万キロも走ったエンジンを自分たちで開けてるから言えることです。
それとモチュール初めて入れたお客さんに言われるんですが「オイルの汚れが早いね」っていうのがあ
りますね。これはつまりオイル自体のクリーニング効果があ
るからで、汚れないオイルというのは逆にまずいんですよ。
それと、オイルっていうと夏場の気温の高い時が注目されるんですけど、逆に極寒の冬場にオイルの性能って出るんです、特にマルチ系はね。ちょっと粘度の高いオイルを入れてやると、一発で回転の上がりが鈍くなりますよね。その点モチュールのいいところは、300Vの粘度設定が細分化されてるんですよ。自分たちの使用状況にあ
った粘度指数のオイルを選べるっていうところがメリットですね。
オイルに関していろんなことがわかってきたと同時に、オートバイというものに乗ることに関して「ふたつのタイプ」があ
ることも分かってきたんですよひとつは「このバイクっておもしろいね」って言う人。もうひとつは「このバイクって楽しいね」って言う人。一見似たような言葉なんですよ。ところが「おもしろいね」っていう表現をしてる人を見てると、バイクを乗りこなしてる人なのね。「楽しいね」っていうフは、バイクの持ってる個性を味わってる。ハンドリングにしろパワーにしろ。バイクは開ければこういう顔を出しますっていう部分。だから、楽しいとおもしろいは似てるけどそれだけ差があ
って、個人的には「おもしろい」という言葉の方が「楽しい」っていう言葉よりも、ちょっとグレードが高いかなと。
MOTUL:
能動的と受動的っていう違いがあ りますね、その言葉に。
中野:
そうそう、ありますね。オイルもしかりで、ユーザーが普段使用してて、メリットって感じないはずなんですよ。なぜかっていうと、当たり前に動いてるから。でもこれがトラブルがあったり何かの状況でエンジン開けたときに、初めてオイルの恩恵を知るんであって、その辺の授かったものに対しての説明を、ショップ側が適切な言葉と形で表現できるかってことが大事なんですよ。だから、いいオイルを扱うんであれば、最低限の基礎的な勉強と、あとはそれに対しての経年変化がもたらす、諸状況がもたらす結果だけは自分なりのレベルでもってテストするか、結果を出しておくということが必要でしょうね。
僕はこれからもモチュール使う意向は一切変わっていません。もしかしたらモチュールを上回るもの、もしくはモチュールと同方向のものが出てくることもあ
ると思いますよ。当然そういうオイルが出たらもちろんテストしてみますけども、残念なことに、タイヤみたいに乗ってすぐ性能の善し悪しがわかるものとは違いますからね。オイルに関しては、さっき言ったように性能の善し悪しを見きわめるのに時間がかかりますからね。その時間を費やすんだったら、それはよそさんで出してもらったのを拝見するか拝聴するかして、僕は逆にモチュールのもっと副次的な使い方を工夫した方がいいかなと思ってます。
MOTUL:
副次的なというと、具体的にどういうことですか。
中野:
例えば自転車のチェーンオイルとか旋盤の切削油。相性のいいオイルってあるんですよ。スピンドル油の中でもね。旋盤で使ってやると、例えばバルブガイドやボルト類のような単モノを作る時、はっきり分かりますよ。バイトも当然減りますよね。そうすると研ぐわけです。その回数がモチュールは普通の切削油の半分くらいで済んじゃう。それと高速旋盤で回したときに引き目が綺麗。これははっきり結果が出てますね、モチュールで。
いい切削油って、削った後いちいちそれを仕上げる手間がいらない。一発セットしてやれば、ぴっかぴかですよ。それがスピンドル油とモチュールで差が出る。普通だったら切削油はポンプから流しっぱなしですけど、モチュールは刷毛でそのまま材料に塗っていけば、それだけで十分。こんなところにも差が出るんだなあ
と、ひとり関心してるところなんですよ。 |
|
|
|
|
|
webmaster@motul.co.jp
Copyright©
2003 HIGH-TECH LUBRICANTS AP PTE. LTD. All
Rights Reserved. |
|
|
|
|
|
|