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MOTUL:モチュールを入れるとライフが長くなると?
柴崎: なりますよね。僕は 8耐で痛いほど感じました。オイルでこんなにまで金属の表面を保護してもらえるものかというのを。うちの社員も今全員モチュール入れてます。まず関口という社員が今から20年以上も前のハーレーにモチュールを入れて、特別なガスケットも何も使ってないです。それでしみ出るかしみ出ないかのテストをさせて、半年間乗らせたけど、全くしみ出ない。

嶋は今ビューエルに乗ってて、今壊すの覚悟で無理な運転をわざわざしてます。もちろん、事故にならない程度に、わざと低いギアで引っ張ってみたり。先日、何千キロか走ったんで開けてみた時に、通常のオイルを使って乗ってたお客さんのオートバイと比べて金属表面の傷が著しく少ない。もう、ダンツキだとか、そういうものが普通は若干ロッカーアームに出るんですけども、全くない。もう1000分の1ミリ台の減りも感じられないんです。あ とは、須崎さんという女の子も毎日通勤で使ってるんで、モチュールを入れたら、彼女はとにかく気持ちいいと。はっきりわかると。スムーズさを感じる。それだけフリクションの多いエンジンだからこそ、オイルによって感じられるものというのが非常に如実にあ らわれるんだろうと思うんです。
高回転のエンジンで感じられるのは、やはり高回転の攪拌抵抗とかそういうので感じられるから、ただ単純にシャバいオイルを入れれば、あ あエンジンが軽くなったっていう感じですよね。我々の場合はそれだけでは感じ得ないような抵抗というのが非常に多いんです。僕らは世界一フリクションの多いエンジンを使ってレースやってることに対して、自分たちの選んだオイルに誇りというのを持っていますが、それはやはり他の人に伝えたいですよね。

MOTUL:そうですね。まったくその通りだと思います。
柴崎:例えばホンダのスーパーバイクのエンジンとか、設計段階からフリクションを減らして設計されてるエンジンが使ったとしても、それらはもともとオイルに頼らなくてもいいぐらいの設計にできてるんです。エンジンの限界を超えるか超えないかのところで使ったときに、オイルのあ りがたみを感じるわけですよね。我々はもう、エンジンかけた段階からオイルのあ りがたみを感じてるぐらいの抵抗の多いエンジンですから、もう本当にお客さんレベルからあ りがたみがわかるっていうことなんです。

MOTUL: 入れてみてすぐに体感できるというのは、大きなセールスポイントですね。
柴崎: そうですね。それとプラスアルファお客さんに話すのは、じゃ6000円の値段の差の分、添加剤を入れたらどうなのかってことです。6000円の添加剤なんて、あ まりいい添加剤ないですよね。その添加剤を入れたことによって、オイルというのはバランスが非常に崩れますよね。清浄分散性、耐磨耗性、対防錆作用、対泡立ち性、冷却作用とか、そのバランスを非常に崩すわけですよね。例えばモリブデンとか、例えばテフロン系のものとかグラファイト系のものとか、そういうものを混ぜることによって、本来の持つオイルの本質に対して悪影響があ るとか、塩素系の添加剤の場合は耐酸化性に対して悪影響があ るとか、金属の表面硬度を上げられるけど錆びてくるというような問題があ りますよね。

そういう問題をも、リスクを背負ってまでも何千円のオイル添加剤を入れる方々がいる。オイルメーカーというのが一番オイルに対して研究をしてるんです。添加剤メーカー以上に。そのオイル自体に何か問題があ るから添加剤ということでごまかしてるわけですけども、モチュールみたいなオイルメーカーというのは自分のところでプライドを持ってオイルを生産するわけだから、そのオイルというのは添加剤に頼らない部分でバランス良く作られてるわけですよね。でも添加剤メーカーの方が宣伝がうまいっていうんですかね、それでお客さんが安いオイルでも添加剤が良ければいいオイルに変身するような錯覚を今までしてたと思うんですよ。だったら添加剤に一切頼らずに、オイル 1つに頼って、これだけの結果とこれだけのフィーリングが得られるならばね、ということで、僕らはそれをお客さんのセールスの中に必ず言いますよね。

MOTUL:今年鈴鹿の 8時間で参戦されて、プライベーターでしかもハーレーのエンジンが出るということに関しては、大きな話題になりましたよね。
柴崎:僕がやったことって普通ですよ。ただ、今のレース界とか今のオートバイ業界が原点を忘れちゃっただけの話で、昔のマン島TTとか昔の日本のGPとかいうのはどうだったかというと、本来お客さんに売るオートバイっていうのが前提になるわけですね。昔のメーカーがレースだけのものを開発できるだけのお金がなかったし、お客さんに売るためのオートバイを、いかに自分のところのオートバイの性能がこれだけいいかっていうデモンストレーションですよね。それと、さらに良くしようとすることによって磨き合うために。
オリンピックと一緒ですよ。黒人の運動神経がいいか白人がいいかイエローがいいのか、オリンピックによって試す。試したときに、やっぱり自分の民族の弱さを見せたくないからまた鍛える。そういう、向上するためにお互いにぶつかって磨き合うための場がレースだったわけですよ。それがいつの間にか、人間で置き換えるとオリンピックに出るために改造人間を作って出てきちゃってる。はなから人間じゃないものを作って出てきちゃってる。これが今オートバイのレースの世界のあ り方ですよね。F1みたいに、はなから絶対パワーみたいなものを求めるようなレースだったらいいんですよ。GPだったらそれでいいんですよ。

スーパーバイクだとかプロダクションマシンの開発が、まず、レースで勝てるマシンを作る。それをプロダクションレベルに落としていく。それで一般販売する。交通事故なくならないですよ。安全ということの考え方は、スピードを出してちゃんと止まれることが安全です、スピード出してちゃんと曲がれることが安全ですというんじゃないと思うんです。スピード出したら人間が危険を感じるということが大前提なんですよ。危険というものを感じさせないようなオートバイが安全なオートバイだっていうふうに、変な定義付けされちゃってるわけですね。僕らのレースのあ り方っていうのは、ごく一般のお客さんに僕らが売るオートバイと同じエンジンであ って、基本的には普通のハーレーであ って。

MOTUL:フレームも一緒。
柴崎: フレームは違いますけどね。フレームは無理ですから。これはそもそも作られ方が違いますからね。オフロードのマシンを使ってレースに出れないのと同じで、ハーレーはツーリングマシンですから、それを使ってスポーツバイクのレースには出れませんから。ただ、エンジンというものを考えた場合に、お客さんに売ってるものとさほどの差はないもので、それをどうしたら 8時間持たせられるんだろうか。もしくは、スピードレースで優勝できるようなパワーアップできるんだろうか。
そういうことによってお客さんが10万キロ走るようなものを僕らは一瞬にして経験できるわけですよ。その中で壊れないようにする。壊れないようにして勝てるためにってやっていったことの繰り返しが、いつしかお客さんのオートバイを安心して乗れるオートバイの形にできるわけじゃないですか。でも、やはりどんなスプリントレースでも 8耐やっても、お客さんは 8時間しか走らないわけじゃないですからね。一生のうちに何十万キロ走る人もいるわけだし、何百何千時間走るわけですから。そういう時間数を安心して走ってもらえるようにサービス、整備をお客さんに提供しようとした場合、自分たちに試練を与えるというのは当たり前のことだと思うんですよ。それがプロだと思うんですよ。お店をきれいに構えて立派な工具を置いて、腕組んでお客さんの前で神様ぶって、それがいいお店じゃないんですよね。人前で壊れた惨めな姿もさらけ出して、悔しいからそういう二度と悔しい思いをしないようにと思ったところから自分たちを高めていって、その中から得たものが、それが本当の意味でお客さんに対するサービスだと思うんですよ。100キロでころべば人間死ぬわけですから。 100キロで走っててころばないマシンにする、 100キロで走ってて壊れないマシンにするっていうことは、そういう部分に対してのオーバークオリティというのはないんです。

例えばブレーキでオーバークオリティってあ り得ないですよね。オイルも同じようにオーバークオリティっていうものはあ り得ないんですよ。良ければいい方に越したことはないんですよ。レーシングマシンより公道を走ってるマシンの方が、走る時間が長いだけにあ る意味で過酷なわけですよ。湿気にもさらされ。レース場のオイルなんて、毎回オイル交換ですから。ブレーキでも同じですけども、レース用のブレーキは確かにすごいスピードからの減速というのを強いられますけども、公道は予期せぬところで急ブレーキかけさせられるわけです。そんなブレーキ、多分サーキットの中でも滅多にしないくらいの急ブレーキをかけるわけですよね。子供がいきなりボールを追いかけて飛び出してきた、そのときのブレーキってのは、筑波の 1コーナーだとかいうののブレーキングとは比較にならないぐらいのブレーキをかけるわけですよ。自分がころぶようなブレーキをかけるわけですから。そのときにブレーキのオーバークオリティってことはあ り得ないわけですよね。ぶつからないためには、下手すればレース用のよりもいいブレーキをお客さんに勧めるっていうことは、僕らは間違ったアドバイスだとは思わないわけですよ。 1センチ手前で止まれば事故じゃないけど、 1センチ向こうで止まれば事故なんですから。その差数センチなんですよ、事故か事故じゃないかっていうのは。

同じように、オイルに関しても同じことなんですが、そのオイルを入れることによってエンジンをいたわることができたら、何十万円っていうお金を得することができるわけですよ。そのための 1リッター当たりの2000円の差なんていうのは、もう保険みたいなものですよ。それはおまけですよね。入れた瞬間から乗ってて気持ちいいか気持ち良くないか。 1ランク上のオートバイを手に入れたような満足感を得られるんだったら、その差は安いんじゃないか。オイルにハンドルが付いてシートが付いて乗ってるわけじゃないんですよ。そのオイルというのは、わずか何千円は、何百万円のオートバイを気持ち良くさせるための何千円なんですよ。そういう考え方というのをお客さんにもっと持ってもらいたい。以前にモチュールの広告で、オイルも 1つのチューニングパーツだっていう書き方をしてたけど、そんな生易しい広告じゃなくて、皆さんはオイルの何千円のために何百万のオートバイを無駄にしてるんですよっていうぐらいの言い方しちゃっていいと思うんですよね。

僕はいつもお客さんに説明するのは、こっちのオートバイは 200万です、こっちのオートバイはモチュール入りで 200万6000円ですと。 2つのオートバイを乗り比べて、どっちのオートバイを買いますかと言ったら、6000円ぐらいでこれだけおもしろいんだったらって、新車買うときはそっちを選びますよ。ところが、維持費としてのそういう値段っていうのは非常にケチるんですよね。買ってしまったものに対してのあ りがたみがないんですよ。それをもう一度再認識させるために、あ なたのオートバイいくらで買ったんですか。そのオートバイが新車のとき6000円高かったら買わなかったですか。新車のとき6000円高く買ったと思って、今このオイルを騙されたと思って入れてみてください。気持ち良くなかったら、次から違うオイルにまた戻してください。 1回ぐらいうちの言うこと聞いて騙されてくれてもいいんじゃないのって言って。
で、モチュール入れたら、全員リピートですよね。だから、あ る意味うちは今オイルに関しては、モチュールに対してのごますりじゃなくて、うちの利益のためじゃなくて、お客さんのオートバイをよりおもしろくしてお客さんに楽しんでもらうために、なかば強引に売っちゃいます。

MOTUL
: なるほど。あくまでもお客様のことを、もちろん、車のことを考えて。
柴崎: 車のことを考えてます。僕らは内部から見る人間ですから、お客さんが外見的に、そんな6000円あ ったらここにこんなステッカー買うよとか、ここにこんなメダルつけるよとかっていうことは、実際自分が乗ってての満足度っていうのは薄いものなんですよ、ぺらぺらなものなんですよ。でも、エンジン内部からおもしろくなるっていうのは、お客さん自身がずっと楽しめることじゃないですか。薄っぺらなものじゃないですよね。

MOTUL
: なるほど、それは柴崎さんご自身に技術的な裏 付けがあってこそのお話ですね。
柴崎: そうですね。モチュール扱ってるお店自体が、イメージから来るものでのセールスじゃなくて、もっとオイルというものに対しての認識というものを詳しく知ってもらって、自分が好きなものという形で、自分が好きな銘柄だから伸びてもらいたいっていうような。僕がハーレーに抱く愛情と同じですよ、モチュールに対する愛情は。いいものなんだから、売れてくれて当たり前じゃないか。それに対して認識がないっていうのは、お客さんに対しての何か伝わり方が悪いんだ。
昔、ハーレーっていうバイクは、何でこんな高いんだって、僕がお店出したときは言われましたよ。こんな性能悪くて高いオートバイにだれがお金出すんだよ。「いや、おもしろいんですよ」って言ってもわからないです。使ってみてもらって初めてハーレーというものを理解されて、今世界的なブームですよね。
同じようなことで、いいオイルっていうのはモチュールに限らずいくつかあ るかもしれませんよ。ただ、一般に販売しているものとレースで使ってるものが同じレベルというオイルは多分ないんだろうと思うんですよね。お客さんがいきなり買ってきたオイルをいきなり入れて、我々と同じレベルのレースができちゃうっていうね、そういうオイルっていうのはそれほど多くないと思いますよ。レース用ブレンドってスペシャルがあ って、それをコマセにして一般的なコストの安いオイルを売ってるというやり方をしないからモチュールはこの値段になってるわけですから。それを僕らは十分理解できるんで、売ってる側もそれをよく理解して売りたいと思いますけどね。

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